読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

司法試験合格を目指すブログ

平成28年度司法試験の合格者が、自身の試験対策を公開するためのブログです。

平成28 司法試験 民事系第3問 再現答案

第1設問1 

1Xの構成員がYに対して総有権の確認を求めるには、原則としてその全員が原告とならなければならない理由は、総有権の確認の訴えが固有必要的共同訴訟に当たり、全員が原告となって初めて当事者適格が認められるからである。以下、詳述する。 

⑴固有必要的共同訴訟(40条1項参照)とは、複数の当事者が共同してはじめて当事者適格が認められる共同訴訟をいうと解されるところ、その趣旨は、当事者の全員に手続保障を与え、合一確定により紛争解決の実効性を図る点にある。 

 そこで、実体法上の管理処分権の帰属に加えて、訴訟法的観点も加味して、固有必要的共同訴訟に当たるか否かを判断すべきと解する。 

⑵本件不動産の管理処分権は、Xの構成員全員に総有的に帰属するから、全員に共同して行使される必要がある。 

 また、全員に総有的に帰属する以上、構成員全員に手続保障を与えて紛争を合一に確定する必要があるといえる。 

 したがって、総有権確認の訴えは固有必要的共同訴訟に当たるといえる。 

⑵そして、固有必要的共同訴訟においては、当事者全員が原告となって初めて当事者適格が認められるのが原則であるから、本件においても、原則として、Xの構成員全員が原告にならなければならない。 

2構成員の中に訴えの提起に反対する者がいた場合には、その者を被告に加えて訴えを提起することが考えられる。 

⑴前述の通り、固有必要的共同訴訟の趣旨は、当事者全員に対する手続保障と、合一確定による紛争解決の実効性にある。 

 そして、訴えの提起に反対する者を被告に加えることで、その者は訴訟に関与でき、手続保障を図ることができるし、構成員全員の関与の下で権利関係を合一に確定することにより、紛争を実効的に解決することが出来る。 

⑵したがって、一部の構成員を被告に加えたとしても上記の趣旨に反しないから、訴えの提起に反対する者を被告に加えることが認められると解する。 

3訴訟係属後に新たに構成員となる者が現れた場合、Xの構成員全員が訴訟の当事者となっていないこととなるから、Xの当事者適格が認められず、訴えが却下されるという訴訟上の問題点がある。 

 そこで、新たな構成員を訴訟に参加させることができないか。 

⑴まず、新たな構成員がBに同調する場合には、その者の積極的な訴訟への参加が期待できる。そこで、その者に本件の訴えに共同訴訟参加(52条1項)してもらうことが考えられる。 

ア「合一にのみ確定すべき場合」とは、必要的共同訴訟となる場合をいうと解されるところ、本件のように新たな当事者の参加により、当事者適格の瑕疵が治癒される場合も含むと解する。 

イしたがって、本件も「合一にのみ確定すべき場合」に当たるので、新たな構成員の共同訴訟参加が認められる。 

⑵ア一方で、新たな構成員がBに同調しない場合には、その者に対して訴訟告知(53条1項)し、共同訴訟参加を促すことが考えられる。もっとも、その者がBに同調しない以上、参加は期待できない。 

 イそこで、主観的追加的併合により、新たな構成員を被告に加えることができないか。 

(ア)この点、主観的追加的併合を認める明文の規定はない。 また、併合により、訴訟の遅延や審理の複雑化を招くおそれもある。 

 そこで、主観的追加的併合は認められないと解する。 

(イ)したがって、本件においても主観的追加的併合は認められず、Bとしては訴えを取り下げ、新たな構成員を被告に加えて再び訴えを提起するしかない。 

第2設問2 

1訴えの利益について 

⑴確認の訴えは、その対象が無限定となりうるし、確認判決に執行力がないために紛争解決の手段としては迂遠であるから、訴えの利益については厳密に判断すべきである。 

 そこで、①確認対象が適切であり、②即時確定の利益が認められ、③方法選択が適切といえる場合に限り、確認の利益が認められると解する。 

⑵ア上記の要件のうち、本件で問題となるのは①の要件であり、原則として、自己の現在の私法上の権利法律関係の積極的な確認でなければ、確認対象の適切性は認められないと解する。 

 イそして、判例は、訴訟代理人の代理権の存否は本案の前提としての手続的事項であるから、独自の訴えの利益は認められないとしている。 

 判例がかかる判断をした理由は、本案の前提としての手続的事項は、私法上の権利法律関係とはいえないからであると考えられる。 

 ウ以上を踏まえて本件についてみると、Zが会長の地位にあること及びZの解任決議の無効は、いずれもBのXの代表権を否定する事項であるところ、かかる事項は、Bの訴訟追行権を否定する手続的事項に過ぎないとも思える。 

 もっとも、BのXの代表権は、訴訟追行権を基礎づけるだけでなく、Xを代表して私法上の取引を行う権限を含んでいるから、単なる本案の前提たる手続的事項ではなく、私法上の権利法律関係であるということが出来る。 

 したがって、BのXの代表権を否定する、Zが会長の地位にあること及びZの解任決議の無効も、私法上の権利法律関係であるといえるから、その確認の訴えは、対象選択の適切性が認められ、確認の利益が認められる。 

2反訴の要件について 

⑴Zによる反訴が、「防御の方法と関連する請求」(146条1項)に当たらないか。 

ア「防御の方法と関連する請求」とは、本訴請求を理由なからしめる事実と内容や発生原因で共通である請求をいうと解する。 

イ本件では、前述の通り、Zが会長の地位にあること及び解任決議の無効の確認により、BのXの代表権が否定されることになるため、これによりBの訴訟追行権も認められず(37条、28条後段)、本訴は訴訟要件を欠き却下されるべきことになる。 

 そうだとすると、反訴たる確認の訴えは、本訴請求を却下させる事実と内容で共通であるといえ、「防御の方法と関連する請求」に当たる。 

⑵また、本件は、146条1項但書各号にも当たらない。 

⑶以上より、本件の反訴は、146条1項所定の要件を満たす。 

第3設問3 

1下線部①について 

判例は、権利能力なき社団が、当該社団の構成員の訴訟担当であるため、115条1項2号に基づいて判決の効力が構成員に及ぶとしていると考えられる。 

 ⑵もっとも、本件では、XのYに対する総有権確認請求の判決の既判力は、XY間で生じるに過ぎず、同様にXのZに対する請求の判決の既判力も、XZ間で生じるに過ぎないため、何ら請求のないYZ間においては既判力は生じない。 

 そこで、このような本件においても、XZ間の判決の既判力が、Xの構成員たるZに及ぶと解することができるか。 

 アこの点、既判力とは、判決主文に生じる後訴での通用性ないし拘束力をいうと解されるところ、その趣旨は、手続保障による自己責任に基づく紛争の蒸し返しの防止にある。 

 そこで、手続保障が及んでいる当事者については、既判力が及ぶと解して良いと解する。 

 イ本件では、XY間の訴訟とXZ間の訴訟は、いずれもXの総有権の確認の訴えであり、その訴訟物は同一であるから、YはXとの関係のみならず、Zとの関係においても、当該訴訟物について手続保障が尽くされているということができる 

 したがって、本件においても判例の援用を認めて良く、XY間の訴訟の判決の既判力がZに及ぶと解する。 

2下線部①について 

⑴既判力は主文判断に現れる訴訟物たる権利法律関係に生じる(114条1項)と解されるところ、その基準時は、口頭弁論終結時であると解する。なぜなら、当事者は口頭弁論終結時まで攻撃防御方法を尽くして争うことが出来るため、手続保障に基づく自己責任を問うことができ、趣旨が妥当するからである。 

 したがって、既判力が及ぶ後訴においては、前訴基準時の主文判断について、基準時前の事由によって争うことは許されないと解する。 

⑵本件では、第1訴訟において、XのZに対する総有権の確認の訴えが認容されているから、前訴の基準時においてXが本件不動産の総有権を有していたことにつき既判力が生じる。 

 そして第2訴訟において、YはZに対する債務不履行に基づく損害賠償を請求について、Zは、本件不動産の抵当権設定契約時に自身が同不動産の所有権を有していたことを主張して争っている。かかる主張は、前訴の基準時より以前の抵当権設定契約時の本件不動産の所有権の存否につき争っているに過ぎないから、前訴基準時の主文判断を争っているとはいえず、前訴の既判力に反しない。 

⑶したがって、YとZの主張の対立点について、前訴の既判力が作用するとはいえない。 

3下線部③について 

前述の通り、既判力が作用しないとしても、第2訴訟において改めてZが本件不動産の帰属を争うことは信義則(2条)に反しないか。 

⑴公平の観点からみて、前訴の主要な争点を不当に蒸し返すと認められる主張は、信義則に反し認められないと解する。 

⑵本件では、確かにYとしては、前訴においてZに対して訴訟告知をしておくことにより、第2訴訟で本件不動産の帰属を争われることを防ぐことができたといえる。 

 もっとも、このようなYの落ち度を考慮したとしても、ZはXとの間で本件不動産の総有権について攻撃防御方法を尽くすことが出来たのであり、Xの構成員たるYに対して第2訴訟で改めて本件不動産の帰属を争うことは、前訴の主要な争点を不当に蒸し返すものといえる。 

 したがって、Zの主張は信義則に反し認められず、裁判所は第2訴訟において、本件不動産の帰属について改めて審理・判断できない。 

                            以上